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俺の名前は山田太一。平凡な人間だった。しかし、今年の四月に入ってから剣と魔獣の世界に飛ばされるというファンタジー小説さながらの体験をし、とうとうこの時が来たのだと悟った。
そう、俺はこの時をずっと待っていたのだ。中学二年生くらいから、なんとなくそうなんじゃないかと気づき始めていたが、それを人に悟られないようあえて普通の人間として振る舞った。やがて高校受験を迎えてもその時はやって来ず、高校に進学して二年が過ぎても平凡な日々が続き、もしかして俺は本当に普通の人間なのではと最近諦めかけていたのだが、やはりちゃんとこの時は来た。
俺は特別な人間。選ばれし人間だったのだ。親や兄弟、友人からはゲームやり過ぎ、漫画読み過ぎ、アニメオタク等と蔑まれて来たが、やはり俺は間違っていなかった。高校生になってからは放課後のほとんどの時間をオンラインゲームに費やして来たことも、ちゃんと意味があった。
もちろん、根っからの現代都会っ子の俺が、こんなスマホもコーラも温水洗浄便座もない世界に長居したいとは思わない。元の世界ではリア充とは最も遠い存在だったけれど、元の世界に帰る気は人一倍あると思う。いや、俺の一番の目的は帰還ではない。
俺の活躍でこのゲームを終わらせる。四聖獣は全て、この俺が倒す。 そして俺は、英雄となる。
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