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そう誓った日の夜。空を見上げると、既に四つの内一つの月が赤く染まっていた。どうやらこの世界に飛ばされた同胞の中にはとんでもないライバルがいるらしい。それとも、四聖獣っていうのはそんなにもちょろい相手なのだろうか。
いや、そんなはずはない。
「うおおおお!こんなん倒せるかあああ!」
二日目で四聖獣の一体が倒されたという事実から見て、どうやらゲームスタート地点がランダムに設定されているらしく、俺が飛ばされたのは東の山の中にある小さな村だった。四聖獣の内の一体、セイリュウを倒すべく鍛えられた魔剣が納められているこの村の祠には、最近大型の魔獣が数体棲みついてしまったそうで、村長からその話を聞いた俺は、一ヶ月に渡って村の周りの小さな魔獣だけを狙って次々狩りまくり、強化された自慢の剣を担いで祠のある洞窟へと赴き、最初に遭遇した鎧蜥蜴(俺命名)を一目見て、背中の剣を抜くことも忘れてダッシュで入口を目指した。
「デカい!デカ過ぎるって!大型の魔獣って言うからセントバーナードよりデカいくらいを想像してたよ!何これ、うちの車よりデカいじゃん!あっ、もしかしてセイリュウ?鎧蜥蜴じゃなくてあなたがセイリュウでした!?」
洞窟の石柱をするりと避け、つららのような鍾乳管をバキバキ折りながら、一心不乱に俺を追いかけるオオトカゲ。青い鎧のような鱗に包まれた全身。口を開け二つに割れた舌を見せ、「シャーッ」とお決まりの声を上げるその姿は、やはりありきたり且つシンプルで、大きささえ忘れてしまえばモブモンスターにしか見えない。
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