第5話「公式イベントとギルドマスター」

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 俺が数々の小型魔獣との戦闘で見出したこのゲームの戦闘においてのルール。俺達プレイヤーにも敵の魔獣にも、RPGのようなヒットポイントは存在しない。魔獣は足等をどれだけ千切られようと死にはしない。体のどこかにある核を破壊されれば生命活動が停止し、魔石となってプレイヤーの持つ武器、シンキ(俺命名、「神」に与えられた「身」体の一部のような武器という意味)に取り込まれる。  つまり、このような大型魔獣の場合、いくら脚や尻尾を斬り続けても倒すことはできない。トカゲの形をしているのなら、心臓か頭部に致命傷を与えれば殺せるだろうというおおまかな目安はつけられる。首を斬り落としても頭部だけで襲ってくる可能性もあるので、完全にシンキに取り込まれるのを確認するまで安心はできないところが注意点だ。ここは異世界。俺達の常識が必ずしも通用するとは限らない。思い込みは命取りとなる。  ただし、これも予想、目安でしかないが、GMと名乗る神が俺達MMORPGプレイヤーを参加者に選んだということは、ある程度はゲーム的な考え方で苦難を乗り切れる仕様になっているとみていいだろう。 「ギシャアアアア」  鎧蜥蜴が痛みに悲鳴を上げ、左脚を庇うようによろめく。 「よし、斬れる」  あの鎧のような鱗を、俺の剣は斬ることができる。つまり、俺のステータスはあの魔獣を倒せる最低限の数値に届いているということだ。
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