第5話「公式イベントとギルドマスター」

8/34
前へ
/248ページ
次へ
  「うおっ、マジで出た」  ノリで発動してしまった秘奥義的な大技に、思わず素の声が出てしまう。洞窟内で不自然に更地と化した半径20メートル。四体の鎧蜥蜴も全て掻き消え、シンキに魔石がチャージされる。 「これが俺の……スキル」  言葉にはできないが、確かにシンキを握る手から伝わってくる、スキル取得の実感。一度発動できれば後に詳細が分かる仕様なのだろう。スキル発動の条件が、文字通り手に取るように解る。この技は魔石さえあればすぐに発動できるという特性からして、必殺技とは呼びにくいだろう。恐らく個人差があり、シンキの姿や性能同様使う人物の意志や思想に大きく左右されると見ていいだろう。そうだ、本来ならば多分、ぽんぽんと連続発動もできるような、ゲームでいうスキルとか特技とか、そういった類のライトな攻撃手段なのだろう。  但し、俺のスキルの場合、俺の思想を反映した結果、とてつもなく使い勝手の悪い、とっておきで奥の手で切り札的な技になってしまっている。 「まさかの、問答無用魔石全損……」  この世界ではシンキが財布にもなっているので、中にはそれなりの量の魔石を貯めたままにしていた。ところが現在、四体の鎧蜥蜴から得た魔石を除けば残存する魔石貯蓄は0となっていた。  俺のスキル【邪龍(ドラゴニック)召喚(ディザスター)】は、魔獣に囲まれて絶体絶命のピンチでも一発逆転が可能なとても強力なスキルだ。しかし、その発動条件はシビアだ。シンキ内の全魔石を消費し、その量に応じた範囲に魔法陣が展開、その中の俺が触れているもの以外全てを無差別に破壊する。
/248ページ

最初のコメントを投稿しよう!

135人が本棚に入れています
本棚に追加