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「使い勝手悪過ぎるわー!」
叫び声は魔獣のいなくなった洞窟内に反響し、俺はその木霊を聞き終えると、すっと冷静になり剣を背中の鞘に納めた。
「何はともあれ、だ」
いざという時に頼りになるスキルなのは間違いない。何よりとんでもなくカッコイイ。俺のセンスの良さが滲み出ているスキルだ。今はそれで良しとしよう。
「お楽しみの、クエスト報酬タイムだ」
アフリカの部族のシャーマンでも出てきそうな怪しげな祭壇を上がると、そこに祀られていた一振りの長剣を手に取る。真っ黒な鞘を引いて出てきたのは、これまた真っ黒な両刃の刀身。祭壇の松明の灯りを反射し、角度によって紫に怪しく輝く。俺の邪剣が細身の両刃直剣なのに対し、この魔剣は幅広のずんぐりとした両刃直剣。色もだだ被りだが、邪龍を宿す漆黒(学ラン)の双剣士というのも超格好良いので良しとしよう。
村長は言っていた。
「なんか、100年くらい前にあの剣が祀られたらしいが、正直今となっちゃその経緯も伝承もよく分からんし、置いといても魔獣が引き寄せられて困るだけだし、かといって魔剣なんて恐ろしくて触りたくもないし、持ってってくれるなら助かるよ」
ということなので、有難く頂戴しよう。シンキと交差するように魔剣を背負い、ベルトで固定する。これで、ヴァニラ最強の双剣士の誕生だ。よーし、世界救うぜ。
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