第5話「公式イベントとギルドマスター」

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 鼻歌混じりに祭壇を降りた俺は、すっかり油断しきっていた。いざとなればあのスキルがあるし、早く魔剣の切れ味、能力を試したいとすら思っていた。だから、突然の出来事にも、俺は心を躍らせてしまった。  祭壇を降りると、目の前の地面に光の魔法陣ができていることに気がついた。俺がさっき邪龍召喚(ドラゴニックディザスター)で出した魔法陣よりもずっと小さい、直径1メートルほどのものだった。 『ハロー、ガールズアンドボーイズ!』  突如、頭の中に響く声。忘れもしない。俺をこの世界に放り込んだ主。自称神にしてゲームマスター。奴の声だった。 『さてさて、ゲーム開始から一ヶ月が経つわけだけど、みんなもうこのゲームには慣れた?熱心にゲームをプレイしてくれる人、魔獣に怯えて引き籠っちゃってる人、ゲームの要領が掴めなくてソロプレイに限界を感じてる人。様々いるようだね。そんな君達に朗報です!これより、初めての公式イベントを開催します!』  魔法陣の輝きが増す。ここから魔獣が出て来て公式イベント開始とみて間違いないだろう。ちょうどいい。絶好の試し斬りチャンス。 『さあ、チュートリアルはこれでお仕舞い!ここからが大規模多人数同時参加型ゲームの醍醐味!みんなで協力して強くなろう!』  まるで電話が切れるように頭の中のノイズが消えると、とうとう魔法陣から魔獣が現れ始めた。
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