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「よしよしよし、来い来い来い」
二本の剣を抜刀し、構え方をあれこれ試しながら、ゆっくり這い出てくる魔法陣の中の魔獣を見据える。
「ジジ……ジ」
出てきたのは、日本でよく見かけたフィットネスグッズ、バランスボールのような大きさの、丸っこいクワガタのような魔獣だった。当然、丸っこいのは頭部と胴体だけの話で、その真ん中に後から付け足したかのような二本の内側だけギザギザした角が生え、こちらを向いている。いや、これは角や顎や鋏というよりも、寧ろゲームや漫画でサイボーグ的な奴が腕や胸なんかに装備している、電磁砲的な武器に似ている。
「ジジジ……ジュッ」
刹那、クワガタの電磁砲から、直径30センチ程のビームが放たれた。
「ぬえっ!?」
不自然な二刀流の構えをしていたため、俺は回避しようとしてバランスを崩し、その不自然な姿勢の俺の頬の横を、とても熱い何かが掠めて行った。
「なんじゃそりゃあっ」
慌てて姿勢を持ち直し、次弾をチャージ中と見えるクワガタを右から回り込むように接近。約3秒という想像以上に短いチャージ時間を経て、再びビームを発射。ステップで躱し、その勢いのまま左の魔剣で跳び斬りをお見舞いする。
魔剣の切れ味の良さ故か、魔獣が弱いだけか、一撃で消滅し、魔石と化す。
「やったか」
思わず口走ってしまった禁句を回収するように、今度は目の前に二つの魔法陣が現れ、いやらしいことに今度はポンッという効果音でも聞こえてきそうな程軽快に、二つの魔法陣から二体のビームクワガタが現れた。
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