第5話「公式イベントとギルドマスター」

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  「ジジ……ジ」 「ジジジ」  二方向から同時に放たれるビーム。幸い、クワガタの向きでどこから飛んでくるかは丸分かりなので、タイミングを合わせて跳躍回避。二体の間に着地、そのまま回転し、次弾発射前に二体を斬り伏せる。二刀流で良かった。この方が効率が良い。 「さて、そんで…」  視線を地面に向けると、案の定今度は俺を取り囲むように四方に魔法陣。つまり、これが今回のイベントってことなのだろう。きっと全プレイヤーのところにこの素敵な贈り物が届いているはずだ。 「クソッ、趣味が悪いなっ」 「ジ」 「ジジ」 「ジジジ」 「ジジジジ」  もうタイミングは覚えた。アクションゲームの回避行動の要領で、攻撃の方向が確定したタイミングを見計らって一歩、全ての射線から外れる位置に出て、全てを回避。 「うおおおおおおお!」  前傾姿勢で走り出し、二射目が来る前に反時計回りに二体を撃破。残った二体からのビームも難なく躱し、四体全て撃破。 「ふぅ。さて、今日はこのくらいで勘弁しておくか」  という俺の意見が通る訳もなく、無情にも八方向に現れる魔法陣。そろそろキツイっす。 「ジジジ」 「ジジ」 「ジ……ジジ」 「ジジジジ」 「ジジ」 「ジ」 「ジジジ……ジ」 「ジジジ」 「だーっ!うるせー!」  ほとんどヤケクソに、四回に渡る攻撃を体の至る所を掠り焦がしながら避け、必死の思いで八体を撃破した。一体いつまで続くんだ、この倍々ゲームは。
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