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「同感だ。ま、俺はIQの高さにも自信はあるが、一応柔道で全中優勝してるから、どっちで呼ばれたのかは分からんけどな。MMOでないことは確かだ」
うわ、出たよ。頭いい奴は何やらせても結構凄いパターン。まあ、その頭脳と武道センスが魔獣相手にどこまで通用するのか知らないが。この世界なら俺だって完璧に劣るわけではない筈だ。臆せずいこう。
「矢吹に俺の情報が必要なのは分かった。だが、情報交換というからには俺に提供できるものがそっちにあるのか?こう見えても俺は」
「あのクワガタを32体までは倒した。そんなところか?」
矢吹は右手で銃の形を作り、俺に向けて撃つ仕草をしながら言った。右手にはめている小さな盾付きの銀の籠手。それが矢吹の武器であることに、俺は今気がついた。
「あ、ああ。え、何で分かったの?」
「あの公式イベントとやらが始まる前からここに集まってた奴らも結構いたんだ。そりゃあもう悲惨な有様だったんだぜ。そこら中であの無茶なビームが飛び交っててな。一通りの奴らが死んでここに戻ってからも、俺の隣の席は空いたままだった。なかなかすげー奴がいるもんだと、死んで来るのを待ってたってわけだ」
なるほど。ここで戦っていた奴らには、32体を切り抜けられた者はいなかったというわけか。というか、そもそも――
「前から死んでここに来てた奴ってそんなにいたのかっ」
俺の驚愕に、矢吹は待ってましたと言わんばかりにニヤリと笑った。
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