第5話「公式イベントとギルドマスター」

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  ***  矢吹の話によると、要するに今俺がいるこの場所は、異世界召喚された高校生(プレイヤー)のホームタウンであり、ギルドハウスであり、大神殿でもある、ということらしい。  この、墓標にも見える、自分の名前が刻まれた黒い石碑の上で、死んだ高校生は生き返る。デスペナルティは所持魔石の半減。だが、シンキの中から魔石を取り出し袋にでも入れて保管しておけば、その対象にはならないらしい。俺の邪龍召喚(ドラゴニックディザスター)にも有効そうだ、すぐに用意しよう。  そして、石碑広場を囲うコロッセオのような建物の中にも、驚くことに一人一部屋設けられているらしい。それぞれの名前の書かれたドアが存在し、そこに入るにはシンキが鍵の役目を果たしているという、ファンタジックなハイテク技術が用いられている。これで宿の心配はしなくていい。ゲームに馴染みのない人からすれば、あの建物はさしずめ学生寮といったところなのだろう。実際、多くの人は“寮”と呼んでいるらしい。  俺も東の村で呼ばれた記憶があるが、この世界において俺達の存在は何故か“高校生”として古い伝承のような形で知られているそうだ。その件については有志によって随時情報収集中だとか。  他にも、ゲーム開始後の高校生達の反応等、概ねの話を聞き終え、今度は俺が話す番となった。
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