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「まるで義勇軍を率いる英雄のようだな。魔王を倒す勇者ってのはそんな感じなのか?」
「ああそうさ。俺は残りの四聖獣を倒し、あの神をも喰らってみせる。そのために、まずはこのコミュニティを纏める存在が必要だ」
現実問題、この世界の攻略には一つのパーティーを率いて戦うだけではダメだ。何せ一回死ねば大陸のド真ん中にあるというこの街に戻されてしまうのだ。まだこの先に何があるか分からない遠征を、あと三度行わなければならない。複数のパーティーが必要になるし、それを束ねたレイドパーティーも必要な場面がきっと出てくる。
つまり、この高校生の集団を纏まりのある組織にしなければならないのだ。
「俺が、高校生達のギルドを作る。ギルドマスターになって、皆を率いる存在になってやる」
覚悟を決め、石碑広場の北側、一際多くの高校生が集まる人だかりへ足を向けた。
「おいおい、本気かよ」
背中からの気配で、矢吹も俺を追うようにして歩いて来たのが分かった。矢吹は俺の歩調に合わせ横について歩くと、前を向きながら口を開いた。
「山田、お前じゃ無理だ」
「何?」
石碑の群れを抜けた辺りで足を止め、矢吹に向き直る。
「山田太一。お前じゃギルドマスターは務まらない。俺がやる」
俺より10センチ以上も背の高い矢吹から、見下すような目を向けられる。なるほど、良い奴だと思っていたが、やはりリア充はリア充ということか。
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