第5話「公式イベントとギルドマスター」

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  「チートってのは確か、ゲームでデータ弄ってズルすることだろ?俺の能力のどこがチートなんだよ。人がたまたま良い能力持ってるからってすぐに難癖つけるのか。ゲーマーってのはタチが悪いな」 「うぐ……確かに耳が痛い」  ギャラリーの中には、それを聞いて何人か気まずそうな顔をする男子がいた。きっと彼らもゲーマー枠なのだろう。優等生にしろスポーツマンにしろ、誰もが努力と恵まれた才能のみで日々の順位争いを生き残り、それが社会的に受け入れられてきた者ばかりなのだろう。ゲームのプレイ時間がほぼ間違いなく強さに直結するというMMORPGの構造的に、ゲームの中で強く、周りから崇められる存在というのは、リアルでは反社会的な人間であることが多い。俺達の感覚とエリート達の感覚がズレるのも当たり前か。 「だから、お前には無理だってんだよ」  俺がスキルを妬んだことでポーカーのブラフのような役割が働いたのか、矢吹は余裕の笑みを浮かべ、腰のポーチから魔石を数個取り出した。 「来い、化け物共」  シンキの盾に魔石がセットされると、呼びかけに答えるように魔法陣が5つ現れた。 「これじゃあさっきのイベントと同じじゃねぇか」  5つの魔法陣からは、狼型魔獣2体、猪型魔獣2体、全長2メートル程の植物型魔獣1体が現れた。
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