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「そうだな。あれで無駄に駒を失ったのは痛かったな」
基本的にスキルは使えば使う程減る一方だ。ただし、こいつのスキルに関しては使い方次第では魔石を減らさず使い続けることができるかもしれない。本当に厄介なのはその点だ。
「だから、こうして使い勝手の良い駒はシンキから出すことにしてんのさ。いけっ」
矢吹の指示で襲い来る魔獣達。俺のスキルは一撃必殺。相手の消耗が見込めない以上、決めるならさっさと決めた方が勝率は高いはずだ。
「そんなに見たけりゃ」
魔獣に向かって正面から駆け出し、シンキを逆手に構える。
「見せてやるっ!唸れ邪龍剣!」
あんな強スキルに勝てるはずがない。強すぎるだろ。相手も可哀想に。そんな声が聞こえてくるギャラリーを横目で視認。射程圏外なのを確認すると、矢吹の立ち位置が射程圏内に入ったところで立ち止まり、邪龍剣を地面に振り下ろす。矢吹のちんけな魔法陣とは比べ物にならないサイズのものが、地面に浮かび上がり魔獣と矢吹を呑み込む。
「ドラゴニック・ディザスター!」
「へぇ」
そもそもの残り魔石が少なかったので、さっき見たものよりかなり小さめの邪龍にちょっとガッカリしながらも、周りからの驚愕の声と歓声に、魔獣を呑み込み天へと翔けて行った邪龍をドヤ顔で見送ると、その範囲外で感心したような笑みを見せる矢吹と目が合った。
この野郎、俺の邪龍避けてんじゃねぇよ。
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