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スキルで殲滅といえば俺の邪龍召喚だが、例え邪龍召喚が効果範囲を町全域に広げられたとしても、魔獣もろともサウパの町を消し飛ばしてしまう。文字通りの無差別殺戮だ。そう思うと俺のスキル怖すぎるな。禁忌の力。封じられしスキル。ククク、やはり最凶の称号は我にあり。
「ちょっと君、じゃま」
「うおぅ」
背中からかけられる声と共に、力士のツッパリかと思わせる重い掌が当てられ、俺は前傾に崩れた。振り向くと、そこに居たのはさっきのフード付きマントの女性。この体格の女性に、俺が押し退けられたのか。高校生という超人の身体能力を持つこの俺を押せる女の子ということは、まさか。
「あーもう、だっるいなぁ」
フードを被った少女は言葉とは裏腹にキレッキレの動きで、四方八方から襲い来るモモンガを次々打ち返した。一見棍棒と思しき使い方をされていたその武器は、よく見るとピンクの鞘に入った刀だった。何故得物を鞘から抜かないのかは意味不明だが、この異常な身体能力と変わった武器からして、彼女は高校生に違いない。
しかし何故、こんな南の町に高校生が。一刻も早いゲームクリアを目指すなら、誰もが南以外の方向に進むというのに。
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