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「君はもう戦わないの?二本も剣持ってるんだから私の二倍働いてよ」
襲い掛かるモモンガが途切れ、息をつくと共に俺に注文をつけてきた。なるほど言動から察するに、この子はあまり積極的に四聖獣を倒す気はないらしい。帰る気満々のリア充ばかりと言っていたが、俺も含めGMの参加者選定基準は結構いい加減らしい。
「いや、戦う気はあるんだが……これじゃあキリがないと思ってな」
鞘付きの刀で杖のように地面を突き、フードの女子は溜め息を一つ吐き出した。
「一応、キリはあると思うよ。魔獣は一般人よりも私達高校生に集まりやすいんだからここで戦い続けていればその内全部倒せる。けどそれも面倒だし……」
俺と会話するのにもフード付きマントを取る気はないらしいが、やはりこの子も高校生で間違いないらしい。そういえば、女子と話すのなんて何ヶ月振りだろうか。
「やっぱり大元の魔獣避けがちゃんと機能してるか確かめるのが賢明……って、聞いてる?さっきからボケッとしてばっかだけど、もしかして使えない人?」
「あ、ああ、聞いてる聞いてる。どうしたらいいか考えてるんだ、真剣に」
俺より頭半個分身長の低い彼女のフード下から、訝しげな視線が突き刺さる。この子、もしかして俺のことを知らないんだろうか。高校生の寮では割と虐げられる存在ではあったが、俺の実力の高さはあの矢吹との一戦で認められているはずだ。
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