第1章

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「最悪だ…この世の終わりだ…」 武島 雪利(タケシマ ユキリ)こと僕がそんな考えにたどり着いたのは先程まで悪辣といっていいほどのサンサンとした太陽がごとき笑顔を振り撒いていた草津 夏加(クサツ ナツカ)に原因がある。 見た目は平々凡々、中身も平々凡々な僕の唯一他人との違うところ、つまりはアイデンティティーはボッチであること。 このボッチのアイデンティティーは漫画、小説等々の様々な物語においてどんなに中身が普通でもある程度キャラが立つポジションなのだ。ボッチは感情移入もしやすいし、実は色々と弄りやすい。 現実ではそんなものはただの孤独死一直線ルートの馬鹿野郎と認識されるだろう…しかし、それでも夢を見ていたいのが僕という人間。 それがどうしたことだろうか、新学期早々にあの活気そうな女子はあろうことか、このボッチで名高き僕に向かって「おはよ!今日から隣の席になった草津 夏加って言うんだ。同じクラスの友達としてこれから仲良くしてね!」なんて言いやがったのだ。 あぁ、分かってる、分かっているとも。あれは社交辞令であって、小学校の先生とかが言うお友達と同じなんだ。お友達とケンカしてはいけないと言われても、誰も友達じゃねぇんだよ!ババァ!と心の中で罵ったあの頃が懐かしい…。 だが、ここで流してしまえば少なくとも私はボッチであることを声高らかに気持ちよく宣言することなどできない! 唯一のアイデンティティーを守るために私は立ち向かわねばならぬのだ!別に授業でペアがいなくともかまわん!体育で先生と組むなんてバッチコイだ!私はこんな普通の人間であってもモブでいたくない! だから、否定してやらねばならぬ!貴様なんぞ友達ではないと、僕は気高く孤高のボッチであると! 「つまり、僕はここに『絶交会(孤)』の結成を孤独に宣言する!!」
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