その時まで

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リュースは遊びにきては、俺との思い出を語ってくれる。 俺にとってはリュースも神様のようなもののはずなのに、親友だ。 墓所にいてもリュースは一人。 ルナはまだまだ生きる。 俺の最後までリュースはつきあってくれる。 見た目、俺は老いぼれ。 リュースはイケメンな青年。 俺がリュースの世話になっているようにしか見えないが。 リネリアのこともリュースが面倒を見てくれる。 その草のベッドを少し動かして、陽当たりの緩いところにしてやりたいと思っていた。 俺には飛竜を持ち上げる力はない。 リュースが軽々とリネリアを持ち上げてくれる。 草のベッドもリュースの力でいいものにしてくれる。 ただ、リネリアを頭の上で片手で持つのはやめてもらいたい。 それはそんなに軽いものなのかと見えて、俺も持ってみたくなる。 持てないが。 人間の姿のリネリアなら持てるかもしれないが。 飛竜を持ち上げる力はない。 城から離れて、毎日をのんびりと過ごす。 ミーナの子供が生まれて。 ルナの子供も生まれて。 孫の顔は城にいかないと見れない。 城にいくつもりもない。 孫がもう少し大きくなったら連れてきてくれればいいとして、完全に隠居だ。 政治にも関わっていない。 こんな老いぼれだというのに、なにが目的なのか、命を狙ってくれる者もいたりする。 俺の動作が鈍く、それにやられてやってもいいとしても、リュースが許してくれない。 最強の護衛がいる。 時にはなぜかアスターが空から降ってきて、リュースよりも過激に刺客を止めてくれる。 俺を殺してくれるやつもいない。 刺客を縛り上げ、飛竜に運ばせたアスターに茶をすすめた。 俺の隣でリュースも真似してアスターに茶をすすめる。 毎日は暑い。 水分をとらないとへばってしまう。 「父上、リュース様。暑いのなら室内で安全にお過ごしくださいっ。いくら母上のそばとはいっても、母上は動けないのですっ。父上の命が狙われるのは母上のご心労ですっ」 アスターの長い説教が始まった。 軽い相づちをとりながら、アスターに茶を飲ませる。 聞き流している。 これでアスターのストレス発散になっているならいいなと。
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