その時まで

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アスターも怒り疲れるとのんびりと休憩。 その茶を飲む横顔は男前だ。 「ひいばあ様に早く会って、恋愛でもしたらどうだ?」 こんな男前が一人でいるのはもったいない。 アスターの視線は不機嫌に俺を見てくれる。 恋愛の話をするといつもこれだ。 なにも結婚しろとも言っていない。 竜の寿命が人間と違い、焦って子作りする必要がないのもわかっている。 晩婚すぎる息子に結婚を望んではいない。 「僕の相手は決まっているのですか」 「ひいばあ様はいい女だった。妊娠で膨れた腹を撫でさせてもらったくらいしかふれたこともないが、ライオネスの嫁だ。おまえも気に入る」 「どこの誰に生まれ変わっているのかもわからないその魂を見つけることは容易でもありません」 だろうなと思う。 シャルマならわかったのだろう。 シャルマがいるうちに連れてきてもらっておけばよかった。 魂の捕獲はルナに任せればいい。 アスターも魂というものとよく接している。 捕まえることはできるはずだ。 「生まれ変わる前の魂を捕獲してどうするんですかっ。父上は天然にボケてくださる…」 ボケているつもりはない。 そして俺の心を読むな。 息子に見せられるものばかりでもない。 「アスターはシャルマに惚れていたからね。ウィルがいなくなるまでは無理だろう」 リュースが軽く言ってくれて、アスターが慌てたようにリュースの口を塞ぐためか剣を抜いた。 リュースはなにを恐れることもなく、アスターの剣を指で弾く。 「これは収めろ。物騒だな、おまえは」 「…リュース様は切り刻めるものでもないと思いますが、思わず」 「銃弾も貫通しないだろう」 俺もたいして気にしてやっていない。 しかし、アスターがシャルマに惚れていたとは。 「シャルマはやらない」 俺ははっきりとアスターに言ってやる。 息子としてではなく男として。 アスターは剣をおさめて、俺の言葉に息をつく。 「リネリアが子育てしないからか」 リュースはリネリアを見て、リネリアもこっちを見ている。 子育てがなんなのかはリネリアもよくわからないはずだ。 俺がわからない。 「……シャルマ様はお綺麗な方でした。僕をかわいがってくださるのですよ。卵のときにはふれられなかったぶん」 アスターは白状するかのように恥ずかしそうに言う。
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