留学編

10/161
前へ
/161ページ
次へ
寧子(やすこ)ね。  彼女は、18歳。 高校を卒業後、寄り道しないで、 まっすぐアメリカに来た。  私が思うに、彼女の家はかなりのお金持ちで、 彼女自身も優等生。  それも、私と違って、普通に勉強して、 親の言うと通り、先生の言う通り、 ずっと優等生の道を歩いてきた感じ。 「どっからきたの?」  それが、寧子の第一声。 「え?どこって神奈川県」 って私が答えると? 「神奈川ってどこ?横浜?」 って、また寧子が聞いてきた。  私は内心、ずいぶん厚かましい子だな? って思ったけど、少し丸顔のぽっちゃりした感じで、 不思議と憎めない顔をしてたから、 思わず、 「茅ヶ崎」 って答えちゃった。  そしたら、寧子は、 「サザンだ! 私、サザン好きなんだ!」 だって。  べつに、サザンは好きだけど、 茅ヶ崎だからって、 サザンが全部ってわけじゃないけど?  でも、そんな風に思うなんて、 きっと、茅ヶ崎のことをよく知らないんだな? って思った。 「じゃあ、あなたはどこから来たの?」  って聞こうとして、 彼女の名前がわからないことに気がついた。 「あなたの名前はなに?」 私が聞くと、 「あ、私は寧子(やすこ)、はじめまして」  そう、それが後でいつも一緒にいて 大親友になる寧子との初めての会話。image=497950123.jpg
/161ページ

最初のコメントを投稿しよう!

19人が本棚に入れています
本棚に追加