留学編

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 あんなに好きだったあさひのことが、 今では、遠い昔の出来事。  すぐ隣りにいるのに、二人の間には、 透明な薄いガラスで分けられて、 離れているよりもずっと、ずっと 寂しさを感じる。  孤独  私は独りぼっち。 周りからは、いつも一緒で仲が良いと、 羨ましがられるけれど、実際は心が通じ 合わない、赤の他人。  ううん、通じあったと思ったのは、 出会った時からの、単なる私の勘違い。  私が感じた優しさは、ただの思い違い。  あさひという人間は、 本当は、誰よりも冷たい人。    あの人は、誰も受け入れない、 心の底から冷えきった人。  寂しい。 こんな寂しさがあるなんて、知らなかった。 2人でいるのに、寂しさが消えない。 2人でいるから、余計に寂しい。
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