第2章 岳先生は人気者

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「でも、十五年って長いでしょ」 「仕方ねぇじゃん」 他に好きにならなかったんだから。 「十五年だよ?」 「わかってるよ。純はその間に彼氏何人だっけ?」 「あー、アハハハ」 笑って誤魔化しやがって。 「っていうか、今時、勇人が珍しいんだって」 「だって、カッコいいじゃんか」 「や、俺的には……そこまで、じゃない……かな?」 「はっあぁぁっ?」 驚きながら思いっきり睨みつけてた。 そこまでじゃないって、失礼だな。あっんなにカッコいい岳先生がそこまでじゃないって、じゃあ、純のそこまで以上っつうのはどんななんだよっ! すげぇ、先生、カッコいいじゃん。 ヒゲとか生えててさ。 先生してる時はあんなのないのに、今日は日曜だからヒゲ剃らずにほったらかしにしてたんだぞ。 ほったらかしなのに、あんなに、なんかチビチビ生えてるただの「毛」がすげぇカッコよく見えるんだぞ?  そんなの、そこら辺のイケメン俳優でも無理だろ。ただの無精ヒゲでしかないだろ。 「ちゃんと、よーっく見てみろよっ! って、あれ……?」 いない。 さっきまで、そこにいたのに、ちょうど岳先生ひとり分の席が空いている。 そして、そこに座っていたはずのカッコよくて、くしゃっと笑うとこがもう言葉にできないくらいにすげぇ良い感じの岳先生がどこにもいない。
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