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俺だって、そう思ってたくせに。
「……先生」
男同士だから、絶対にありえないから、言うつもりなんて、本当にこれっぽっちもなかったくせに。
それなのに、この宴会がずっと終わらなかったらいいのにって、けっこう本気で願った。
岳先生の全部を覚えてたいなって思いながら、もっと見てたいって考えてた。
もっと見てたいけど、それは無理だから、せめて記憶しておきたいって。
「んー、吐きそうか? 吐けるんなら吐いちまえ。すっきりするぞ」
好きだって。
言うつもりなんて、これっぽっちもなかったんだ。
だって、会うことがまずないんだから、言えるわけがなかった。でもさ。
「勇人?」
でも、会えたら、こんなふうに話をいっぱいしたらさ。
「俺」
溢れるじゃん。
「好きです……岳先生の……こと」
気持ちが溢れて、外に気が付いた時にはもう。
岳先生はすげぇ目を丸くして、俺を昔と変わらずまっすぐに見つめて、数秒後、だったと思う。
もうよくわかんねぇ。
ただ、一言。
「ありがとう」
そう、言った。
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