第38章 大っ、好きっ、です

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「もう! すぐ! そこなんだけど!」 初バレンタインに岳から手袋をもらった。 「ホワイトデー!」 俺は何をお返しすればいいんだ。 そう思って慌てて、そっこうで相談するのは純だ。 連絡して、日曜は岳が送別会でいないから、少しの時間でかまわないから相談に乗ってくれって頼んだ。 俺は平日が仕事で、しかも今、かなりきついから体力的にはどうにかなっても会える時間がそもそもなくて、土日が仕事なのに純が時間を作ってくれた。 「もぉ、わかったよ、いいんじゃね? お返しは、ボクの身体っつって。あ、ほらほら、これ、ちょっと話題なやつ知らない?」 でも、時間作ってくれたわりに、けっこう投げやりだな、おい。 「ほら、これ! いいでしょー!」 「……」 純がスマホを俺にかざして、何かすごく良いバレンタインデーのお返しって教えてくれて。 「おいっ! ありえねぇっ!」 「えぇ? けっこう話題なんだけど?」 「知るか! 純! マジで!」 純がスマホで探してくれたプレゼントはなんか裸の女の人がでっかい赤いリボンで出てはいけないところだけをしっかり隠した、ドレスなんだか水着なんだかの写真。 ここは個室の居酒屋なのに、一瞬、やばいって慌てたくらいきわどい写真だった。 アホだろ。 それを着て、俺を岳にプレゼントとか……あ、ありえねぇ。 「まんざらでもないんだろぉ」 「! はっ、はぁ?」 ニヤリと笑ってから、純はスマホをカバンに仕舞い、ポテトにたんまりケチャップをつけてから口へ放り込んだ。 純なら、それ着たってきっと彼氏は喜ぶかもしれないけどさ それ、俺が着ても洒落にもなんねぇから。 岳だって、絶対にさすがにそれは苦笑いだから。 けっこうスケベな岳でも、それはさすがにねぇだろ。 「そうかそうか、岳先生は案外すけべぇなのか」 「は? んなの、言ってねぇだろうが!」 「勇人って、全部顔に出るだよ」 なんだよ、出るだよって。
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