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っていうか、アクセサリー?
時計とか?
あとは、カバン?
うーん、どっちも岳は普段してない。
基本的にアクセサリーしないもんな。
ネクタイ……も、窮屈だとか言いそうだし。
酒? 酒は好きだけど、なんかちょっと違う。
うーん、俺のために色々考えてくれた倉敷さん、マジでごめん。
でも、すっげぇ温かくて、岳と手を繋いでるみたいに思える手袋をもらったんだ。
だからホワイトデーはやっぱ酒とかじゃなくて、もっとこう俺からって感じられるような。
あ! じゃあ、マフラー! は、もう季節的にないな。
服とか? ホワイトデーに服? 服、かぁ。
「服、ねぇ……」
「生まれたままの姿が一番なんじゃん?」
「純! だーかーら! もうそのネタはいいって!」
ホワイトデー、マジで何にしようかと思ってんのに、純がスマホを楽しそうに笑いながらいじってるから、また絶対に、あの裸にリボンくっつけたモデルさんの写真を探してるんだろ。
それはアクセサリーよりも、香水よりもありえねぇから。
「マジで! 純ってば! ホワイトデー!」
「俺は、お前といられればいいぞ?」
ふわっと、身体が温かくなった。実際にあったかいのは、掌がポンと乗っかった頭のてっぺんだけだけど。
「よっこいしょ」
「先生、おっさんっぽい」
この優しくてあったかい声に、全身がドキンと跳ねて、一瞬で全身がほんのり熱くなる。
「おっさんだ」
俺の隣に座ると持っていたおしぼりで手を拭き、純に笑いながら、もう四十だぞって言ってる。
「え? えぇ? 岳?」
岳がいきなり隣に座って、めちゃくちゃ驚いてる俺を見て、くしゃっと楽しそうに笑った。
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