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拓海さんが蒼空を抱く腕とは反対の手でお母さんを立たせる。
「拓海さんから お話は聞かせてもらいました。もう何とも思ってませんから お義母さんも気にしないで下さい」
ここに来るまでは不安で仕方がなかったけど
誠心誠意謝ってくれる姿が見られただけで 心のわだかまりが取れた気がする。
「父さんも母さんも いつまでそこで話をしているの?早く上がってもらったら?」
廊下の先の部屋から顔だけ出した 拓海さんと目が似ている女の人が間に入った。
「あ、初めまして。拓海の妹の渚です。
虹渉さん 母に間違った情報を教えたのは私なんです。
ごめんなさい。辛い想いをさせてしまって」
渚さんにも謝られたから 首を左右に振って
「もう 私には何のお話だかまったくわかりません」そう言葉にした。
「ありがとうな虹渉さん」
私の気持ちがお父さんに伝わってくれたようだ。
私もみんなに笑顔を向ける余裕が出て来た。
場の空気をやんわりさせてくれるかのように 蒼空もおねむから目覚めて キャーと赤ちゃん特有の発音で奇声を上げだした。
一気におじいちゃんとおばあちゃんの表情が緩んだ瞬間だった。
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