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「渉夢に会う事は出来ますか?」
どうするも何も 私一人で決めることなどできない。
一度 渉夢に会わなければならないだろう。
あの事件以来 一切交流がなくなった。
何処の施設に入れられたのかも 私は聞いてはいなかった。
継母が出所後に 何処かアパートを借りて 渉夢を引き取って一緒に暮らしているという話は 恭司先生から聞いてはいた。
だけど 場所も聞いてもいなかった。
会うのが怖かったからだ。
私の所為で 母親と離れ離れにさせられて 挙句に施設に預けられてしまった。
きっと恨んでいるんだろう。
今回の放棄の事も 私と一切関わり合いになりたくなくて言い出したのかもしれない。
でも 渉夢も継母もりっばな父の家族で遺産相続人だ。
だから いい機会だから渉夢と一度会って話をしてみよう。
「わかった。キミが会いたがっているという事は話しておこう。
ただ 本人がどういうかはわからないよ。それでもいい?」
「はい。よろしくお願いします」
「それと これは俺とうちのカミさんからキミ達へ」
そう言って バッグと一緒に持って入って来ていた紙袋を私達の前においてくださった。
「これは?」受け取って聞くと
「出産祝いと結婚祝いだ。順番が逆なのは 俺からの囁かな逆襲!」
ニタって笑って話す恭司先生は 私が向こうで一人で出産した事を すごく怒っていた。
何で頼らなかったんだって 私の事を探しだした時に怒られた。
その事を言っているのだろう。
「ありがとうございます」
その言葉が 震える声でやっとで出て来た。
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