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店内に入ってすぐに気が付いてくれた恭司先生が 手を上げてくれたのでそちらに進むと スクッと椅子から立ち上がった渉夢らしき男性が 「久しぶり お義姉さん」 声を聞いただけで 渉夢だと認識できた。 声変わりはしただろうけど その声が昔に聞いた小さなころの渉夢の喋り方と亡くなった父の声とリンクしているようだ。 「久しぶり渉夢」 顔も 小さなころの面影がある。 私はどっちかと言うと母親に似ている。 渉夢は父親の血筋を濃く引いているのか 顔の丸い輪郭も少し外人気質漂う鼻筋も ポテッとした唇も父親そっくりだ。 髪の毛は 私も父の血を継いでいるようで漆黒の黒髪だが 渉夢も 染めてるのでなければ私や父と同じ色だった。 「さ、みんな座ろうか」 恭司先生の声かけで 私と拓海さん 恭司先生と渉夢で別れて体面で座ると 初めましての拓海さんと渉夢は 恭司先生によって紹介されて名刺交換していた。 小さい頃に離れてしまった渉夢が 目の前で名刺を交換している姿に 何だか時の流れを感じる。 りっばな大人になったんだね。 それが知れただけで 今日ここに来た甲斐があったよ。
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