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____カランカラン♪ 「いらっしゃいませ」 店内に足を入れると カウンターの中から髭を蓄えた 一瞬クマ?って見間違えるような男に 微笑みながら声を掛けてられた。 「いらっしゃいませ 2名様ですか?」 入り口扉に立つ俺達のもとに 黒のチノパンに白いシャツ 黒のギャルソンエプロンを着けた店員が来てくれて 4人掛けの丸テーブルに案内された。 メニュー表を手渡しながら 「決まりましたら お声を掛けて下さい」 一礼して立ち去り カウンターに戻りながらも空いた席のコップなどを下げる スキのない動きを見せている。 「拓海、私 モスコミュールがいい」 一緒に店内に入った 付き合って1年の恋人 明美がメニュー表を見ながら指差して来る。 「すみません!」 先程の店員が 俺達の席の傍を通る際に声を掛けて注文を済ませると 「畏まりました。あ、お客様。もうじき演奏が始まりますと 店内の照明が暗くなりますので ご注意ください」 頭を下げた後 カウンターに向かって注文を告げていた。 「私 こういうお店って初めて!今日は 誰の演奏なんだろうね?」 明美が 今は誰もいない 楽器だけが置いてある壇上に目を向けてはしゃいでいた。
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