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そしてこちら側の峠が完成すると、練習のステージを移し、また毎晩のように深夜に一人で走り込んだのだ。
別に走り屋になりたい訳ではない。全ては――
――ある約束のために。
絵里香の眼下に広がるのは、春樹と翔子が眠る町。
それにしてもこの展望台、今日は平日なのに、やけにカップルが多い。
みな抱き合い、キスし――幸せそうで、まるで何か特別な日に感じる。
――たぶん、今夜会える。
「ハル君。来てくれるかな……」
淡い期待は長いため息に連れられ、辺りを囲む深い森が作る闇の中に飲み込まれていった。
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