SS6 再動(上)

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 そしてこちら側の峠が完成すると、練習のステージを移し、また毎晩のように深夜に一人で走り込んだのだ。  別に走り屋になりたい訳ではない。全ては――  ――ある約束のために。  絵里香の眼下に広がるのは、春樹と翔子が眠る町。  それにしてもこの展望台、今日は平日なのに、やけにカップルが多い。  みな抱き合い、キスし――幸せそうで、まるで何か特別な日に感じる。  ――たぶん、今夜会える。 「ハル君。来てくれるかな……」  淡い期待は長いため息に連れられ、辺りを囲む深い森が作る闇の中に飲み込まれていった。
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