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「――わざわざ見にきたのか?」
周回を重ねる春樹をコース脇のギャラリースタンドで見ていたケンさんの隣に、サングラスをかけた優男風の青年が現れた。
「……ああ。どんな奴かと思ってね」
尋ねられてそう答える男は、続けて「何秒でてる?」とだけ聞くと、ケンさんは先ほど無線で連絡のあった春樹のタイムを告げる。
すると男はニヤリと口角を吊り上げただけで、何も言わずにその場を立ち去った。
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