リエゾン ナオミインタビュー

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 ところでこの二人、アイザワ・オートランドのダートトライアルコースに併設された、ピットガレージの裏手に常設してある屋外用の白くて丸いテーブルを挟む様にして、ディレクターチェアを二つ向かい合わせに並べて座っている。  なお二人がいるガレージの裏は、食事をしたり休憩を取ったりと、スタッフのちょっとした憩いの場になっているのだが、その脇にはチームのトランスポーターや徹夜組のモーターハウスがずらりと並んでおり、相沢コンツェルンのレースへの力の入れようが良くわかる、なかなかに迫力のある光景が広がっていた。  それにしてもいい天気である。日陰が無いせいで夏のような日差しが照りつけているのだが、湿度が低いのだろう、嫌な気分にはならない。カラッとした空気は心地よく、大きく息を吸い込む度に心が開放されていく様な……そんな梅雨入りの発表があった割には一向に降る気配のない、今日も五月晴れの六月のとあるのどかな日曜日の午後一時半。上昇を続けていた気温もそろそろ頂点に差し掛かった頃だ。  今日のナオミ、ライトグレーのタンクトップの上に、ホワイトの長袖チュニックを重ねている。  そしてインディゴブルーのスリムのジーンズを美しく履きこなし、足元を光沢のあるブラックのヒールでキメていた。  特に難しいアレンジでも、高価な物を身に着けている訳でもないのだが、女性にしてはかなりな長身である事とスタイルが抜群に良い事、それに透き通るように白い肌やダイナミックになびくブロンドヘアが見る者をそう思わせるのだろう、ナオミは今日もスーパーモデルのようにゴージャスだった。  普段被っているレーシングキャップや愛用しているサングラスは、今は付けていない。  ナオミはブラックのディレクターチェアに深く腰掛けて、長い脚を組みながら両腕をアームレストに置き、口元に微笑を浮かべ――時折日の光を反射してキラリと輝くグレーの瞳で春樹をじっと見ていた。
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