~ウィルの奇妙な1日~

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「………本の整理のため、本日立ち入り禁止……」 図書室の入り口の扉に、そう書かれた札がかかっていた。 「…………たまたまだたまたま。」 そう言いつつ、図書室の前でぐるぐる回りながら考える。 ……やっぱりついてない?…いや、そんな… しばらく回っていると、目が回って座り込む。 「うう……くそ…」 頭をかかえ、次にどうしようか考える。 「…………」 そうだ…たまには…裏庭で散歩でもしよう… 裏庭には立ち入り禁止なんてないはずだ… 立ち上がって歩きだすと、何故かバナナの皮があって転んだ。 「………………」 ウィルが裏庭に出ようとした瞬間、何故かどしゃ降りの天気になった。 「…………たまたま…だ…」 猛烈に雨を降らす空を見上げながら、ウィルは呟いた。 ため息を1つ吐くと、大広間の方へ向かった。 その道のりでも3回転ぶ。 「あ~ウィルくんだあ!!」 「お、ほんとだ。」 大広間には人はまばらで、守護者達も数名いた。 「何か変な組み合わせだな……」 そこにはアリア、リーヤ、ウェンディ、そしてソロンがいて、1つのテーブルを囲んでいた。 「休暇が重なったんですよ。…そして強引に…」 「そんな言い方ないでしょ。雨も降ってきたし、テーブルゲームでもしようってことになったのよ。」 その割りにはメリッサとアルビレオがいないが、興味もないので聞かなかった。 モカも何してるか知らないし。 「お前もまざれよ。俺良いこと思い付いた。」 リーヤはそう言うと、ウィルを強引に引っ張って椅子に座らせた。 「……まったく。」 「で、何するの?」 ウェンディが聞くと、リーヤはテーブルの上のトランプを片付けて、穴の空いた箱と、何枚かの紙を取り出した。 「名付けて“自分はどう思われてるの?気になる~♪きゃ~”ゲーム!!」 「長っ」 「何だそれは?」 「簡単だ。一人に八枚ずつ紙を配るから、そこに自分以外の奴の名前を二枚ごとに書く。そんで一枚にはそいつの良いところ、もう一枚には悪いところを書いてこの箱に入れる。もちろん匿名でな。」 「え~~~~」 アリアとウィルは嫌な顔をするが、ウェンディは笑顔になる。 「面白そう!!仲良くなるためには嫌なところも言わなきゃね!!」 「まあ…僕は構いません。」 「決まりだな。」
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