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「んじゃあまず悪い方から…」
リーヤは紙を開く。
「“暗い”」
「……」
「“暗い”」
「……」
「“暗い”」
「……暗い多くないか…」
ウィルはいつにも増してムスッとしている。
暗いだと?お前らが落ち着きがないだけだろうがッ!!
そんな事を思い、どうせ次も“暗い”なんだろ…と頬杖をつく。
「“全部”」
「!?」
ウィルは思わずテーブルに額をうつ。
「…えげつねーなオイ…ちょっ泣くなよ!?俺が書いたんじゃねーよ!?」
涙を滲ませながらにらんでくるウィルに焦るリーヤ。
「ほ、ほら。良いところいくぞ!!」
ウィルから目を反らしながら紙を開く。
「“ない”」
「な……」
「“ない”」
「……ぐっ」
「“ない”」
「……う…っ」
ウィルはもう、テーブルに伏せって泣いているようだ。
皆いたたまれない様子で見ている。
「う…っうっ…なぜそんな目で見る…書いたのはお前らだろ…っおいリーヤ…さっさと最後のを読み上げろ…うう…」
そう言うと、また伏せってしまう。
「…ええと…」
「“本当は優しい”」
「…………っ!!!」
ウィルはガバッと顔を上げた。
そして皆の顔を見る。
隣に座るウェンディがにっこりと微笑んでいた。
「ウェンディ…お前…」
ウィルの目には今度は感動の涙が溢れそうになる。
「ん?このウィルの悪いところ“全部”ってウェンディの字じゃねえ?」
リーヤの一言に、ウェンディは苦笑いを浮かべた。
「お前らみんな死んでしまえーーー!!!!」
ふと気が付くと、ウィルは自室のベッドに寝ていた。
「……夢?」
時計を見て、今日が休暇1日目の朝だということを確認する。
そして夢であったことに心底安堵した。
「そうだよな…あんなについてないことはあり得ないしあいつらだって…特にウェンディがあんなこと書くはずない!」
気分が良くなったウィルは、朝の仕度をさっさと済まし食堂へ向かった。
「ああ本当に夢でよか…」
ウィルが長廊下を歩いていると、突然肩を叩かれ、振り向く。
「おはようウィルさん!!僕今占いに…」
ジャスティンは言いかけ、止める。
ウィルが顔面蒼白になって絶句していたから。
その後ウィルは1日ずっと自室でうなされていたらしい。
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