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食堂。たくさんの組織の人々が朝食の時間を楽しんでいる。
あるテーブルは、10歳前後の子供達ばかりが座っていた。
「美味しいな!!ミオ!」
金髪の少年、ライエンがチャーハンを頬張りながら隣に座るミオに満面の笑みを向ける。
「落ち着いて食べなよ。ごはん粒ついてるって!」
向かいに座るふたりを観察する少女、アリア。
ふたりだけではなく、周りに座って食べている皆を見渡す。
皆とても楽しそうに食事を楽しんでいた。
そしてアリアは隣に座り、黙々と食事をとる少年を見た。
赤い髪の、精霊は美しいという例に漏れぬ美少年、1ヶ月前に召喚したばかりのアリアの守護精霊ー…リーヤを。
「お…おいしい?」
アリアはリーヤにたどたどしく話しかける。
リーヤは一度アリアを見て、また食事に視線を戻す。
「……別に味に興味なんてない。」
「え~?美味しいぞ?」
笑顔を向けるライエンを、リーヤはただ冷めた瞳で見返すだけだった。
食事も朝の訓練も授業も終わり、アリアは自室にいた。
ベッドに腰掛け、クッションを抱き締めている。
リーヤを召喚して1ヶ月…
リーヤはまだ全然人間っぽくないよ…
同じ時期に召喚したミオのライくんとウィルのモカちゃん、ウェンディのアルくんはもうすっごく人間みたいになってるのに……
リーヤはライくんみたいに笑わない…モカちゃんみたいにイタズラもしない…アルくんみたいに怒らない…
必要なことしか喋らないし……
アリアはクッションに顔を埋める。
「何でだろぉ…私の育て方が悪いのかな…それとも名前が気に入らないとか…?」
リーヤという名前。アリアが好きな物語の主人公からとってしまった。
有名な話だから…皆に何か言われてるとか………??
「…どうすれば仲良くなれるんだろ。」
……物語…
「そうだ!!」
アリアは何かを思いついたように立ち上がり、部屋を飛び出した。
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