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一瞬、何を言われたのか分からなかった。
「ケガをしたそいつが悪いんだ。弱肉強食が自然の理だろ。そいつが死ぬのは当然のことだよ。」
リーヤは、顔色ひとつ変えずに、言い放つ。
「な…何言ってんのリーヤ…」
アリアは思わず苦笑いをしてしまう。
「このコ死んじゃうかもしれな…」
「だからほうっておきなよ。花を探しに来たんだろ。早く行こう。」
「………………」
「もう、いいよ。」
アリアは呟いた。
「じゃあ、花を…」
「リーヤは帰って。私一人でこのコ運ぶ。」
アリアはリーヤを見ずに、そう呟いた。
リーヤは呆れた顔をする。
「何を言ってる?そんなの無理だよ。」
「うるさいな!!!」
「…っ!?」
泣いているかのような怒鳴り声に、少し動揺する。
「リーヤは助けたくないんでしょ…だったら帰ってよぉ…っ」
アリアはリーヤの方を見る。
アリアの瞳からは、大粒の涙が零れていた。
「アリア…」
「私たち…っこのコを助けられるんだよ?…私たちなら…助けてあげられるんだよ?それができるのにしないなんて…っ」
リーヤの瞳が揺れる。
「できないよ…!!!」
リーヤが、夜兔の側にしゃがむ。
そして指で、アリアの涙をすくう。
「ごめん。」
リーヤはどうしたらいいか分からないような顔をしている。
「俺が悪かったから…泣かないで。」
リーヤは、きっと優しかったんだ。
ただ、表現する方法が分からなかっただけ。
もっと本音でぶつかれば良かったんだ。
窓の外を眺めるアリア。表情は自然とほころぶ。
「懐かしいなあ…あの後運ぶの大変だったけどね。あのコ元気かなあ。…そして後日花を見に行って…」
「…アリア。」
不機嫌なウィルの声がする。
「何よウィル…ひゃあ!!???」
バシン、とお尻を何かに叩かれる。
「よ!!」
「リーヤ!!?あ、あんたねぇ……」
背後にはいつの間にかリーヤが立っていた。
「…お前、太った?」
手をわきわきと動かしながら、いやらしい笑みを浮かべる。
「………死ね!!!!」
「ごふあぁあ!!!???」
「静かにしろよ…」
こんな風に成長してしまったけど…
今のリーヤは、とっても元気です。
はあ………
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