一章 暗い夢と明るい現実

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自分の身体の上には、薄い布団が1枚と毛布が1枚… …そしてよく知ってる奴が1人じっと俺を見つめている…。 「はぁ…またお前かよ」 少しイライラした顔で見返す。 「お前とはなんだ!!せっかく唯一無二の友達である… この!!古瀬一樹(ふるせいつき)が!! 起こしにきてやったんだぜ!!… 早く起きないとぉ…イタズラしちゃうぞ☆」 そう、現実では… 可愛い女の子が 可愛くツンツンして 可愛くイタズラしちゃうぞ☆… 的なことは一切ありえないのだ。 あるとすれば… ウザい男子が ウザくバンバンしてきて ウザいイタズラをされるだけだ…。 「はあぁぁぁ…」 俺は盛大に溜め息をついた。 「なんだよ、その可愛い女の子に起こされるのを期待してたのに、お前かよって言う顔と 少しでも期待してしまった自分に対する溜め息はよぉ」 心の中を全て読まれるという一瞬のサプライズに俺は唖然とする。 「どうせ、またあの夢見たんだろ?? なんか知らない女の人の夢だっけ??」 さっきまで見ていた夢までばれているらしい 「…うん…まぁ…そんな感じかな」 さっきまで見えていた視界が夢だとわかっていても、どこか懐かしい様な気がして、でも思い出せなくて、引っかかるような虚しさに下を向いてしまう。 「おいおい!!夢は夢だろ??そんなに考え込むなって!!」 一樹にはこの夢のことを話している 一樹はお調子者でバカだけど、何故かすぐに人の気持ちを理解する、それに約束は必ず守るし、嘘もつかない…信頼できる良い奴だ。 「んで!?今日は続き見れたのか??」 一樹が楽しそうな表情を浮かべながら聞いてくる 「いーや、いつものとこで終わった。てか終わらされた。誰かさんに。」 少しイタズラっぽく言ってみた 「なんだ続き見れなかったのか、てか俺すのせいにすんなよ??どうせ俺が起こさなくても、そこで目覚めんだしさぁ」 確かにこの夢はいつも自分が泣いているのを側で見守って終わる。それも一樹に話している。 「まぁ、そうなんだろうけどな」 「んじゃあ、いいじゃん!!あっ!!それより飯だ!!飯!!母ちゃんに勇斗呼んで来いって言われてたんだよ」 飯という言葉を聞いて腹が減っていることに気づいた 「今すぐ行きます!!」 今思えば、こうして飯を食えるのは奇跡なのかもしれない。
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