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信を部屋に招き入れると照史は話を伺った。
聞いてほしいと付き纏っていただけあって信の口調は内容の残酷さと不釣り合いな程に軽やかだった。
信の額の痣は父親からの暴力によるもので元々不仲な両親だったそうだが信が高校へ上がると共に母親が出て行き、父親が癇癪を起こすと信を殴りつけるという内容だ。
よく聞くような話だった。ただ聞くだけの話。自分とは縁のないことだと思っていた。
しかし、今はテレビで放送される見もしない他人の話ではなく、生身で現実として突きつけられる。
「彼らの事情なんてこの僕に関係ないのにね」
他人事のように信が言う。
「お前ちょっと服脱いでみろ」
照史は座っている信に言った。
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