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それならば、私が「家を出ないで」と言ったことで両親の死は回避できたのではないだろうか。
それなのに両親は死んだ。
つまり「私が両親を家に居させた」ことで死んだのだ。
あの「1」という数値は、私が「家を出ないで」と言うことを想定した数値だったのだ。
もしも両親がなにごともなく仕事に出かけていたら。
火事のあった時間帯は仕事に出かける準備をしている時間だ。
きっとすぐに異変に気付いて、家族全員助かっていたであろう。
すべては私の、あの言葉の所為。
私の所為。
「私が、殺した?」
頭がくらくらする。息も荒い。
薄闇の視界で、ほんのりと光る月がゆらゆらとゆれている。
思わず、手元に握りしめていた小さなボタンを強く押した。
視界の隅で赤いランプがチカチカと点滅している。
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