A.ウーマン

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ほどなくして、数人の人間が勢いよく扉を開けて駆けこんできた。 朦朧とする意識の中で、私の口に何かをあてがい、体格の良い白衣の男に抱え込まれて、そこで私の意識は途絶えた。 黒いドロドロした闇の中で、灰になった両親が私に語り掛けてくる。 優しかった父親、母親の声が、私の頭の中で木霊して。 私が殺した最愛の人達が、灰になって私に語り掛けてくる。 私は耳を塞いで部屋の隅でうずくまり、ひたすら謝り続けている。 誰ももう、許してくれる人も罰を与えてくれる人もいないというのに。 ゆっくりと地面が沈み、私は再び深い闇の中へと沈んでいった。 そして、唐突に感じたまぶしさに目を開けると、そこはまたいつもの真っ白な天井だった。 腕に巻いた包帯が、病室の白に比べて黒くくすんで見えた。
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