A.ウーマンズ

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それが一体何なのかを理解するまでに、そう時間はいらなかった。 あれは人間だ。しかも私と同じくらいの年齢の女の子だ。 髪の毛から服、折れてしまいそうなか細い腕や足まですべて真っ白な、人間だ。 少女はぼんやりと空を眺めて、それからニコっと笑った。 いつの間にか、私の目は周りの人間と同じように少女に釘付けになっていた。 私が授業を受けている場所は、地上8階の建物である。 そこから少女の姿が真横に見えるということは、少女は地上8階の建物のてっぺんに命綱も無しに居るということになる。 死ぬつもりだろうか。 少女の指先ひとつの動きにもびくりと反応してしまう。 固唾をのんで全員が少女の動向を見守る中、一人の男子学生が口を開いた。 「あいつ、アリサだ。留学生の。」 全員が男子学生の方に振り向く。 男子学生は口を開いたことを「失敗した」とでも言わんばかりに、バツが悪そうにうつむいた。 「アリサって、あの自称”死なない女”?」 「手品が得意なんだよね?」 「アルビノだっけ?ちょーレアなの。」 各々が思い思いに知っていることを口にする。
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