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私はうつむいてとぼとぼと玄関に歩み寄ると、母親は私の姿を見て深いため息をつき、私に歩み寄ってきた。
それからの事の顛末は、予想の通りである。
遅くなったことをとがめられ、ちゃんと連絡すること、暗くなる前に帰ってくることを約束させられた。
父親が帰ってきて、母親が今日のことを話して多少怒られはしたが、基本的に放任主義な父親は、「まあ子供ってのはそういうもんだ」と笑いながら私の肩をバンバンとたたき、母親はそれを見てあきれ返りながらも少しだけ笑っていた。
きっと母は父のこういう所に惹かれて結婚したのだろう。
少しむずかゆい気持ちではあったが、心地よかった。
自身の居場所が確定的である気がして、このまま一生私はこうして生きていくのだろう、と思い始めていた。
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