出会い

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〇月×日 天気は晴れ、 風が心地よく吹きぬける。   午前10時。 一人の少年が町の隅にあるとある建物の前に立っていた。 彼の名は林崎大河。まだ垢抜けない中学生である。 彼の目の前には『Sato』と綴られた理髪店がある。彼は一度深呼吸をして、顎をあげる。建物の二階にかけられている『鷹野探偵事務所』という看板を見て、改めて目的地に着いたことを確認した。 林崎は以前ここの事務所が助手を募集していたことを知っていた。年齢を問わず、若い人大歓迎とも書いてあった。推理小説を愛読書にしている彼にとって、探偵の助手になるのは憧れだった。そんなとき、ここが助手を募集していることを知り、衝動を抑えきれなくなった彼はとうとうここまで来てしまった。 彼は胸に手をあて、鼓動の高鳴りを確かめた。このまま歩いたら心臓が避けるかもしれないと苦笑しつつ、ぎこちない足取りで、二階へ続く階段へと歩を進めた。
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