第17章  前触れ(続き)

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「どれも、お弁当の常連だから……」 小さくキッチンの彼女を振り返ると、 ちょっと恥ずかしそうに彼女がモジモジしている。 そして、 「座ってて」 照れ隠しなのか、彼に背中を向けて何かをする彼女を残し、 忍は、履いたばかりのスリッパをほんの数歩だけで再び脱いで 部屋に入った。 ベッドが大きく幅を取っているそこには、小さな整理ダンスと姿見。 あとは、元は押し入れだったという クローゼットに収められているのだろうか。 狭い中に、上手に空間が作られている。 そんな部屋を興味深げに見まわしていた忍の背後から 入ってきた彼女が、再度座るように促してくる。
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