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それで我に返ったように、忍は、手に提げてきたケーキを彼女に渡した。
「生菓子じゃないから、余ったら常温で何日か持つから。ゆっくり食べて」
そして、ベッドを背後にラグの上に敷かれた座布団に、静かに腰を下ろす。
その彼の目の前に、間もなく、よく冷えたグラスとビールが差し出された。
「ありがとう」
微笑む彼女に、琥珀色の液体をグラスに満たしてもらう。
そんな些細な事だけで、どこか幸せな気分になる。
こうして始まった、念願の食事。
どれもが美味しく、彼女の温もりが伝わるようで、
忍のお腹も、心も、いっぱいに満たしてくれた。
そして、その夜。
狭いベッドの中で、彼女は艶やかに舞った。
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