第17章  前触れ(続き)

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そして、愛しい唇を小刻みに啄みながら 近寄った胸の先をヤワヤワと指先で触ると、 「ん……、んん……」 目を閉じる彼女から、甘い声が小さく零れる。 「ほらぁ」 忍は、手の下の膨らみと彼女の唇を解放し、 同じ枕の上でコツンと額を合わせた。 「そんな色っぽい顔して、可愛い声出して」 「でも、それは忍さ……」 彼女の言葉を遮るように、忍は再び小さくリップ音を立てて唇を啄んだ。 「ペナルティになっちゃうよ?」 それに彼女は、困ったように眉根を小さく寄せる。そして、 「ねぇ、名前だけは『さん』付けじゃダメ?」 「ないと呼び難い?」 うん……。 彼女の視線が、わずかに落ちる。
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