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「じゃあ、ニックネームならどう?」
ニックネーム?
合わさった額がわずかに離れ、キョトンとした彼女の目が向けられる。
忍は、そんな彼女の前髪をそっとかき上げ微笑んだ。
「うん。フィンザーっていうの。
子供の頃にね、異星人遊びをしていた時に決めた名前でね。
僕のあだ名は、しばらくそれだったんだ」
そして、「どう?」と尋ねると、
目の前の彼女も小さく「フィンザー」と繰り返す。
途端、それを耳にした忍の胸が、思いがけず大きく跳ねた。
そんな予期せぬ自分に、彼は、にわかに慌てた。
それと同時に、誤魔化すかに言葉を繋ぐ。
「でも、那々ちゃんが呼び易いものでいいよ。
ペナルティが気になって呼ばれないよりは、呼んでくれたほうが嬉しいし」
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