14人が本棚に入れています
本棚に追加
『陽希さんが嫌じゃなかったら、恋人のこと話してくれませんか』
蓮は陽希に寄り添い陽希の手の上に手をのせた。
『蓮…』
陽希は蓮を見つめた。
そして口を開いた。
『俺の本当の名前は桜、陽希は恋人の名前なんだ』
『……』
『陽希と出会ったのは蓮と出会ったあの場所、そして別れたのもあの場所…』
『だから桜を見つめるとき悲しい顔をしてたんだ』
蓮は衣服に着替え陽希の隣に座った。
『雪也にむりやり乱暴され悩んで俺に言えず陽希は首をつって自殺した…』
陽希は悲しい顔ですべてを話した。
『桜さん』
蓮は陽希を抱き締めた。
『2度と恋をしないと決めていたのに…蓮と出会って再び恋をした…幸せになれると思ったのに雪也が現れた…』
『桜さん…』
『蓮…怖いんだ、また俺の前から愛する人がいなくなるんじゃないかと』
『俺は桜さんを置いていなくなりません』
蓮はギュッと陽希を抱き締めた。
その頃、雪也は桜公園の桜の木を見つめていた。
『陽希、お前は良い身体をしていた…お前に似たあの男はどうかな』
桜の木に向かって言うと雪也はその場から消えた。
ー大神シーズンの部屋ー
シーズンは机の椅子に座って資料を見ていた。
その時、ノックもせず向日葵と紅葉が部屋に入ってきた。
『シーズン様』
『何だお前達、ノックもせず』
『雪也が戻ってきたって本当ですか』
『あぁ本当』
『雪也はどこですか?』
『桜に会いに行くと言って下界に向かった』
『何で行かせたんですか』
向日葵と紅葉はその場から消え下界に向かった。
その頃、蓮は陽希をまだ抱き締めていた。
『……』
『…桜さん?…』
『……』
『眠ったのか』
蓮は陽希を起こさないようにベットに寝かせると掛け布団を陽希の身体にかけた。
蓮はタンスの中から上服とジーパンを取りだし床に置くと紙にこれを着てくださいと書きその紙を衣服の上に置いた。
『お休みなさい』
蓮は部屋を出てリビングに行った。
『少し寝るかな』
蓮はソファーで横になり眠りについた。
ー午前8時ー
『うう…ん…』
目を覚ました蓮は身体を起こしソファーから立ち上がった。
『まだ桜さん寝てるよな、コンビニに行って朝食でも買ってくるか』
蓮は財布だけ持って出掛けていった。
最初のコメントを投稿しよう!