美しい神様

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『お前の言う通り俺は陽希に惚れてた…』 『今は?…』 雪也は立ち上がり口元の血を手で拭いながら向日葵を見た。 『蓮さんに惚れてる』 『俺が桜に言ったらどうする』 『もし桜に言ったら、お前を殺す』 向日葵は真剣な顔で雪也を見た。 『怖い怖い…』 雪也はその場から消えていった。 ー蓮の家、リビングー 『蓮…』 落ち着かない桜はうろうろ動きまわっていた。 その時、蓮を連れて紅葉が現れた。 『桜さん』 『蓮』 桜は蓮に近づき抱き締めた。 『蓮…蓮…』 『……』 桜の温もりを感じながら蓮は目を閉じた。 蓮実は恋人に小さな声で『今日は帰ろうか』と言った。 『そうだね』 『紅葉さん、俺たち帰ります』 蓮実と恋人は家を出ていった。 『…桜、話がある…』 『わかった、少し待っててくれ』 桜は蓮を寝室に連れていった。 『蓮、すぐ戻るから』 『桜さん』 蓮は桜に抱きついた。 桜は蓮から離れ顔を見つめながら『話が終わったら抱いてやるから待ってて』と言った。 『わかりました』 蓮は頷いた。 『いいこだ』 蓮のおでこにキスをすると桜は部屋を出ていった。 『……』 蓮は無言のままベットに倒れた。 その頃、桜はリビングに行き紅葉と向日葵に目を向けた。 『話って何だ』 桜はソファーに座った。 『桜…』 『お前達の言いたいことはわかってる…雪也はまた、俺から愛する人を奪ったんだな』 桜はうつ向きながら込み上げる怒りを必死に堪えた。 『この事をシーズン様に報告するからお前は蓮さんの側にいろ』 『……』 『向日葵、行くぞ』 『桜に話があるから先に行っててくれ』 『わかった』 紅葉はその場から消えていった。 『桜』 『……』 向日葵に呼ばれ顔をあげた桜は向日葵に胸ぐらを掴まれ立たされた。 『お前の側にいたら蓮さんは幸せになれない、だから蓮さんは俺が守る』 『…向日葵…お前…』 『蓮さんに惚れてる』 『……』 『何をしてるんですか』 様子を見に来た蓮は胸ぐらを掴んでいる向日葵と桜に駆け寄り離れさせた。 『蓮さん、俺はあなたが好きです』 『……』 突然の向日葵の告白に言葉を失った。 『…向日葵と話があるから出掛けてくる…』 桜は向日葵の腕を掴み家を出ていった。
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