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『いた…』
蓮は嬉しそうな顔で陽希に駆け寄り声をかけた。
『おはようございます』
『……』
背を向けていた陽希は振り返り蓮を見つめた。
『おはよう』
『陽希さん』
『今から仕事ですか』
『はい、その前にあなたに会いたくて』
『……』
陽希は蓮に近づき優しく微笑んだ。
『……』
蓮は頬を赤らんだ。
『遅刻するぞ、早く仕事に行きなさい』
『…はい…』
蓮は陽希に頭を下げ歩き始めた。
陽希は去っていく蓮の後ろ姿をじっと見つめた。
その後、蓮は仕事場のスーパーに行きレジの仕事を始めた。
その頃、陽希はベンチに座って桜を見に来る人々を見つめていた。
『……』
『桜、シーズン様がお前に話があるって』
『……』
陽希は向日葵を見つめた。
『何か言いたそうだな、俺でよかったら聞くぞ』
『気になる人がいるんだ』
『気になる人って、陽希に似てた奴か』
『……』
陽希は頷いた。
『恋心を抱いているなら止めた方がいいぞ』
『どうして止めた方がいいと思うんだ』
『陽希が死んで心が傷ついただろ…俺も紅葉もシーズン様もお前が悲しむ姿をもう見たくないんだ』
『……』
陽希はベンチから立ち上がった。
『桜…』
『シーズン様の所に行ってくる』
陽希はその場から姿を消した。
ー大神様の部屋ー
陽希はドアをノックし口を開いた。
『桜です、今よろしいでしょうか』
『入りなさい』
部屋の中からシーズンが返事をした。
『失礼します』
ドアを開き中に入ると陽希はドアを閉めシーズンに頭を下げた。
『座りなさい』
『はい…』
陽希はソファーに近づき座った。
シーズンは椅子から立ち上がりソファーに近づくと向き合って座った。
『話って何でしょうか?』
陽希は問いかけた。
『気になる人間の男がいるみたいだな』
『…向日葵から聞いたんですか…』
『人間に恋をしても辛いだけだ、今すぐ止めなさい』
『…嫌です…』
陽希はうつ向きながら小声で言った。
『桜…』
シーズンが言いかけたその時、陽希がソファーから立ち上がった。
『シーズン様、蓮とセックスをしました…だから彼と別れるつもりはありません』
シーズンに頭を下げると陽希は部屋を出て下界に戻った。
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