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ー大神様シーズンの部屋ー
机の椅子に座って資料を読んでいたシーズンは現れた向日葵に目を向け口を開いた。
『向日葵、その男か』
『こいつは弟です』
『弟?』
シーズンは椅子から立ち上がり蓮実に近づいた。
『どうして他の人達には見えないんですか?』
蓮実は問いかけた。
『私達は神だ、見える人と見えない人がいる…見える人は霊感がある人だ』
『じゃあ俺は霊感があるってことか』
蓮実は納得した。
『向日葵、もういいから戻りなさい』
『はい』
向日葵は部屋を出ていった。
『座って話さないか』
『話してたいけど、戻らないと』
『君のお兄さんのことなんだけど』
シーズンはソファーに座り蓮実を見た。
『兄貴のことって…』
蓮実は向かい合ってソファーに座った。
『弟の君に頼みがあるんだ』
『何ですか?』
『私達の仲間の神が君のお兄さんといい仲になってるんだ』
『頼みってまさか…』
『別れさせてほしいんだ』
『お断りします』
蓮実はソファーから立ち上がった。
『まさか断られると思わなかったよ』
『俺には出来ない、思い合ってる2人を別れさせるなんて』
『仕方ない…』
シーズンはソファーから立ち上がり蓮実に近づくと蓮実の顔に手を向けた。
『……』
眠気に襲われた蓮実は目を閉じシーズンに倒れた。
シーズンは蓮実を抱きかかえ隠し部屋に運ぶとベットの上に仰向けで寝かせた。
『しばらくの間、ここにいてもらうよ』
シーズンは隠し部屋を出て鍵を閉めた。
その頃、蓮はスーパーのレジの仕事をしていた。
その様子を紅葉はじっと見つめた。
『見れば見るほど似てるな、陽希君に』
『紅葉』
『どうしたんだ』
『彼に弟がいたんだ、今、シーズン様の所にいる』
『その事を言えば来るかもな』
『そうだな…』
向日葵は紅葉に背を向け歩き始めた。
『どこに行くんだ』
『桜に会ってくる』
『桜に言うなよ』
『わかってる』
向日葵はその場から消えていった。
その頃、陽希はいつもの通り桜の木の側で行き交う人々や遊ぶ子供達を見つめた。
『……』
『桜…』
陽希に近づきながら向日葵は声をかけた。
『何かようか』
『本気で彼に惚れてるなら、神を捨てて人間になれ』
『……』
真剣な顔で話す向日葵に陽希は驚いた。
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